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No.307 そして・・・変換

   人は自分を変える事が出来る。

  それは突然やってくる。

  天から何かが降りて来たかのように・・・。

  又は何かに背中を押されてかの様にだ。

  しかし、それは其れまでに培われてきたものと親から授かった資質が

  ある事に行き当たって自己改革を起こす。

  







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   福賀は両親から経済的な財産は譲り受けていない。

  それだけに、彼は自分自身が両親から受け継いでいるであろう資質を

  出来る限り磨いて自分の財産にしようと考えた。

  其の一つは身体能力。

  たまたま彼の動きを見た合気道の最高有段者が其の資質を発掘する事になる。

  そして、美術の教科でも美術団体の会員が転任して来て彼の資質に出会う。

  其の過程で人間の原点を探る過程で様々な違いに行き着く。










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   福賀が色々な方向で思考し、行動することになる基になるモノは極めて恵まれていたと言える。

  その違いとどう関わったら良いか?

  良い関わり方は何か?

  其れは出来ない違いが在って自分に出来る事で其の違いを少しでも埋められたら・・・

  そう考えて其の方法を模索し、どんなに難しくても努力する。

  そして完全とは言えなくても其の状態に近づけて形にする。

  其れが人間として生きる事ではないだろうか。

  福賀はそう思って生き方を決めた。












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   そして人の命のために魂のために自分の魂を使おう。

  早く逝ってしまった両親のために残された自分の魂のために・・・。

  いろいろな違いを持ち合った命たちのために・・・。

  働ける自分自身を磨けるだけ磨こう。



   しかし、福賀とは真逆の方向で自己改革する人間も出て来る。

  そして必ず天から降って来たとか、何か解らない力で背中を押されたと言う。

  何処でどう分かれるのか解らないのだが、その違いには両親から譲られた

  無形の財産の発掘と理解と生かし方に在るのではないだろうか。

  人の命は尊重されるもので、他の力が断つものではない。

  人の命を生かす為に関わろうと思うのが人の道であり、それに反する行為は

  人の道としてあり得ない。


  つづく


  おまけ

  7月31日に西荻窪で”おわら風の盆”があります。

  興味の在る方は是非お出掛けください。


  



  いつも当ブログにお越しいただき感謝しています。

  次回もよろしくお願いいたします。    

No.306 そして・・・動く(2)

  人間は誰しもあの時にああしていれば・・・と思う事が在るだろう。

 私にも在った。

 其れも数知れずに載り損なったチャンスがあった。

 それは過ぎてしまうとどうする事も出来ない。

 その悔しさや後悔がイメージの人間である福賀に託した。

  福賀は人が寝てる時も自分を磨く事に精を出し続けた。

 それは両親からは物質的財産を残されなかったからだ。

 両親から多分受け継がれたであろう資質や特性がなにか。

 それを探し高め磨く旅に出る事にした。

 誰しも誰にも無い何かを授けてくれたに違いない。

 福賀にも其れは在ると信じて・・・。







  福賀は臨時の役員会をその日に其の店に予約した。

 チャーターしたバスで高尾山の近くの山道抜けて到着した。

 「副社長、なかなか素晴らしいところですね」

 「古民家を幾つも移築して造られています」

 「いらっしゃいませ。ご案内いたします。
  滑り易い所がございますので、お足元にお気をつけくださいませ」

  面々は慎重に歩を運びながら周囲の木立に見遣っていた。

 「此方でございます」










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   部屋には床の間が在り、掛け軸と花が生けられていた。

  奥から社長・副社長を向き合いにして古手の役員から席に着いた。

  「今日は私がお願いして特別にお集りいただきました。
   何事かと思われたでしょう。
   先ずは食前酒くらいは今日に限って許されて良いと思います」

  勿論、予約の時にコースを決めてある。

  飲物の種類を決めなければならない。

  「何にしますか?」

  「日本酒でどうですか?」

  「そうしましょう」

  「では、日本酒で?久保田で・・・」

  「畏まりました」

  酒が来て夫々の杯に注がれる。

  「では、社長、乾杯の音頭を・・・」

  「副社長、どんな事で此処にこうして集まったか解らないで
   乾杯を言われても・・・副社長、君がやってくれないか?」

  「そうですよ。副社長やってください」

  「それでは、ご指名と言う事で私が乾杯の音頭をとらさせて
   いただきます。では、此れから我が社に起こる途轍もない
   発展の未来に乾杯をしたいと思います」

  「乾杯!」

  その途轍もない未来について明かされていく。







 
   
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  「実は、社名を変更しなければならなくなりました。
   そして化粧品部門を増設して今業界で大手の会社が23社もオファーしている
   デザイナー福賀貴義さんと契約をします」

  「え〜〜〜あの福賀貴義が採れるんですか?」

  「はい、採れます」

  「それは事実なんですか?」

  「事実です。昨日ある人の紹介で彼に会い承託を得ました」











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  「それは凄いですね。前代未聞です。よく彼がうちに来てくれましたね」

  「私は彼をスカウトしました。彼は契約金はいらないと言いました。
   其の変わり社名を株式会社雪月花にして下さいと言いました。
   彼は化粧品を手掛け事を望んでいたのです。
   化粧品開発プロジェクトを作って彼がチーフプロジューサーに、そして
   化粧品部・部長として入社を希望しています」

  「それは当然だろう」

  「社長もそう思われますか?」

  「勿論だよ。どう言うコネでこうなったか解らないが良くやってくれた。
   ニッチもサッチもいかなくて動きがとれなかったけれど、これで動けた。
   有難う副社長」









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  「解っていただけて安心しました。
   何しろ此の件は早く水面下で行なわなければなりませんでしたので
   極秘に進めさせていただきました」

  「これは奇想天外な事件として報じられるでしょう」

  「いや、これは我が社に彼が来る前に先ず社名を変更して極秘に化粧品
   開発プロジェクトを作っておかなければなりません。それも極秘にです」

  「成る程、我々も彼が来る事に決まった事を漏らしてはいけないのですね」

  「そうです。それが彼の戦略の一つですから・・・とても大事な事です。
   よろしくお願いいたします。社運が掛かっていると言っても良いです」

  「千歳一隅此の期を逃してはなりません。皆で結束して事に当りましょう」

  いつの間にかメインの焼き物になって熾した炭が運ばれ鉄鍋が運ばれて

  鳥のもも肉や山芋を輪切りにしたものつくねや獅子唐などを串に刺した物

  などの素材が運ばれて来た。

  夫々がジンギスカンのような鉄鍋に乗せながら焼いていく・・・
 
  






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  汁物などが出て・・・


  会議と言うか会食と言うか突然の会合は社長をはじめ役員達の

  大きな驚きとともに素晴らしいプレゼントになった。

  夫々の顔が明るい。

  明日への希望が持てて来た。

  そんな気概が溢れていた。

  ナミカの父も役員の一人として良い仕事が出来た。

  人が会社を大きくする。

  その実感と達成感で一杯だった。










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  〆の麦とろ飯が夫々の席に運ばれた頃は適度に酒が廻って席が湧いていた。

 此の辺は自然薯が売りで知られている。

 普通の山芋より腰が強く引きが良い。

 日本に生まれて良かった。

 我が社に入って良かった。

 明日から彼が来るまでにしておく事に専念しなければならない。

 「それから彼の戦略の一つに彼が入社と同日の大手新聞社の朝刊に

  社名変更と新社名の1ページの広告をだす。其の広告に彼の入社を

  経歴を紹介する」

  此の準備もしなければならない。

  内容は伏せて4月1日の朝刊1ページを予約しておく事。











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  役員達の顔が活き活きと輝いている。

 こんな情景が今まで在っただろうか?

 いや、全くと言っていい位無かった。

 どう動いたら良いのか解らなかったのは社長も副社長も同じだった。

 運と言うのは何処にあるか誰にも解らない。

 降って湧いたようにやって来る。

 福賀が、そしてナミカが、そしてナミカの父親も自然を尊敬して

 愛してやまない人間だった。











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  そして今日集まった此の場所も自然のど真ん中。

 其れ其れの気持ちの中にもきっと自然の恩恵を感じて居たに違いない。

 「計画は漏らさずに実現する。此れが鉄則である事は当然理解済みでしょう。
  しかし、これ程難しい事は無いとも言えます。まだ1年以上あります。
  全て秘密裏に運ばなければなりません。よろしくお願いいたします」

 「確かに知っている事は話したい。人に言わないで我慢するのは至難の技です。
  特に今回の件は凄い事だけに話したくなります。他に知られてはいけないと
  心に刻んでおきます」









        



  番外のおまけ
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  天候は不順です。
 
 未だ暫く梅雨はつづくようです。

 蒸し暑さは体力を奪います。

 お互いに期を付け合いましょう。

 手で見る絵本「テルミ」制作が大詰めになりかかっています。

 27日以降に更新します。

 いつも当ブログにお越しいただき感謝しています。

 此れからも宜しくお願いいたします。 


  

No.305 そして・・・動く

  今更ですが・・・イメージ・2は現実では出来ない事を

 次々と実現して行ってしまうデザイナー福賀貴義のイメージ物語と

 二ヶ月に一度てで見る絵本「テルミ」の紹介と二本立てです。










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  福賀貴義は運命的な出会いをしたナミカの父親と仮契約をした。

 それを懐にしまって10日後の終業後に宣伝部長を隠れ家的な店に誘った。

 「いつも頑張って良い仕事をしてくれて感謝しています」

 「いいえ、とんでもないです。中々思う様な成果を上げられなくて・・・
  申し訳なく思っています。力不足をいつも感じて申し訳なく思っています」

 「いや、力が出せる環境作りをしなければいけないのだが・・・今までは
  動きが出来なくて停滞を続けている事は経営を担う自分達の責任だからね」

 




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  ここは離れの様式を採っていて古い民家を移築したり造ったしている。

 鬱蒼とした山をバックに色々な樹々が植えられて凛とした空気が流れていた。

 「君に聞きたい事があってね。昨日新聞に載っていた福賀貴義と言う人なんだが
  デザイナーとしてどうなんだろう?」

 「え〜!福賀ですか?今、業界で一番注目されているデザイナーです。
  大手の間で彼が何処に行くか、その噂で持ち切り状態です。今までに出て来なかった
  逸材と評価されています」





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  成る程、私が感じていた通りの人材だったかと・・・

 「うちに来てくれたらどうだろう?」

 「彼は私の後輩ではあるのですが・・・とても無理です。
  恐らく大手で20社以上のオファーがあるはずですから」

 「もしだよ。もし来てくれたらどうだろう?」

 「あったら凄い事になります。凄く刺激になりますし
  大きな成果に結びつく事は間違いありません」










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 「それでね。彼が来たらの話だが、君の立場もあるだろう。
  彼と気持ちよく協力してやっていけるだろうか?」

 「それはもう〜、あり得ないと思いますが彼が来たら嬉しいです」

 「嬉しい。そう」

  そこでナミカの父の副社長は・・・

 「君が本当に喜んでくれるのが解ったので言うのだけれど・・・
  実は来てくれそうなんだよ。未だ会社の取締役には言ってないんだが」

 「え!本当ですか?それが本当だったら凄いです。副社長、彼が来てくれるように
  お願いします。夢みたいな事ですから。皆も凄く喜びます。これ以上良い刺激は
  何処探してもありません。良い訳になりますが、こうしたサプライズが欲しかったです」






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  そうだったのか。

 そうした刺激やサプライズが意欲に結びつくんだ。

 でも、こうした事って運なんだろうな。

 あぁ、ナミカの父で良かった。

 福賀から23社の先輩にオファーを戴きましたが就職先を決めましたので

 申し訳ありません。ご免なさいと挨拶し終えましたと連絡があった。

 よし明日、役員会に計ろう。

 社長も喜んでくれるだろう。









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  ナミカの父と言って来たのも、ナミカが副社長の父に運を持って来たからだ。

 こうした出会いや繋がりは運によるものと考えるしか方策はない。

 科学では解き明かせない何か不思議な力の働きってあるだ。

 非科学的なもの。

 多分それは自然ではないか。

 自然は科学ではない。

 










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  現実では参議院選が自民の大勝に終わった。

 安倍強権政権は恥も外聞も無く当選者数を増やす事の徹した。

 勝つ事は勝ったが福島・沖縄では負けた。

 その結果が本当の答えではなかったかと思う。

 終わった途端に東京都知事選の立候補者の公示が14日だから

 立候補者の調整が大詰めになり野党は宇都宮さんが撤退を表明して

 鳥越さんに思いを託した。

 さて、鳥越さんが正念場に挑む事になった。

 一応、野党は統一して支援を鳥越さんに決め一本化出来た。

 さ〜ぁこれから三つ巴の選挙戦に入る。

 どうなるか東京都知事。



 突然報道された天皇陛下の生前退位のお気持ち。

 大賛成です。

 しかし、時の最高権力者はどう対応するか。

 宮内庁が否定している事を良い事にして自己の念願である改憲を

 押し進めるかも知れない。





 つづく



 いつも当ブログにお越しいただき感謝しています。

 次回もよろしくお願いいたします。    

No.304 そして・・・前に戻って(3)

  ナミカが此の部屋に来たのは初めてではない。

 二回目の海水浴に去年のメンバーと一緒に行った帰りにナミカは

 そっと福賀と電話番号を交換していた。

 そして東京に帰った次の日に福賀に電話していた。

 福賀のアパートは原宿から表参道を下った明治通りの角にあった。

  
  「どうぞ」と返事をまらってナミカは教えられた5階の部屋に
 着いてベルを押した。

 また「どうぞ」と返事があってドアが開いた。

 開けてくれるとばかり思っていたがドアの向こうからまた「どうぞ」

 声がしてナミカはドアを自分で開けて入った。

 すると、奥から「内側のキイを掛けて奥に来てくれますか?」と福賀の

 声がした。

 入口から奥にフロアーがあってテーブルと3脚の椅子が置かれていて

 予備のパイプの椅子が壁際に立て掛けられていた。

 そして其の横に白いドアがナミカを待っていた。

 奥へと言われたので其のドアをナミカは開けて想像もしていなかった

 風景に顔を手で覆ってしまった。









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  部屋全体が真白で其処に生まれたままの姿で福賀が立っていた。

  「此処は私だけの部屋で他の人は此の中には入れないので何ものにも
  拘束されないで自由なんです。
  耐えられなかったら帰って良いんですよ。
  どうします?」

  「 私が此処に入れたのは受け入れられたと言う事ですね。
  でしたら私も同じ世界に入れていただきます」

  どうしたら良いのかと顔で伺う。

  「そうですか。それでは彼方のバスルームの手前に着替えのスペースが
  ありますからどうぞ」

  そして来て来た物を全て脱ぎ捨てて戻ると

  また二段目のショッキングな世界が広がっていた。

  それが福賀の背中に彫られた五代目彫辰の刺青だった。

  ナミカは生まれて初めて本物の刺青を見てドキドキして思わず胸に手を

  やってしまった。

  鼓動は生まれたままの菅とを通り越して強烈な激しさだった。

  命懸けで頼まれて仕方なく引き受けてしまった経緯を聞かされ納得した。









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  ナミカは福賀との強い運命的な出会いを感じていた。

 以来、二人は思い合っている事が互いに感じ合えるようになる。

 二回目にナミカが訪れた時に福賀が描き始めていた作品が「国際アートフェスティバル」

 に出品されてグランプリを受賞した。

 それはナミカが福賀と出会って半年を過ぎた頃だったと思う。

 「おいおい此れをちっと見てくれ。凄い青年が居るぞ〜!」

 ナミカの父で雪月花石鹸株式会社の副社長が朝刊を広げて大声を出していた。

 「あなた何を大きな声を出していらっしゃるのですか?」

 朝刊の見出しは「若干23歳でグランプリ受賞!」と踊っていた。

 まだ寒い雪振る2月の朝だった。

 どれどれと覗き込んでいたナミカの母親は・・・呟いた。

 「福賀貴義???聞いたことあります。ナミカのお友達かも

 「え〜ナミカの友達だと・・・ナミカにボーイフレンドが居たのか?いやいや、居た事を兎や角

 言ってる場合じゃない。ナミカは居るのか?」

 「今日はお休みですから居ますが・・・」

 「直ぐ呼んでくれ!早く急ぐんだ」

 「ナミカ〜ぁ。お父様が呼んでますよ〜〜〜ぉ」

 まだ寝ていたらしい。

 「は〜〜〜い」と返事があって二階からナミカが降りて来た。

 「ナミカ、福賀貴義って言う人と付合いが在るって本当か?」

 「どうしたの?なんか怖いんですが・・・」

 「ゴメン。仕事の事で申し訳ないが私のいや会社の為に大事な事なんだ。
  家に仕事を持ち込まないのが私の主義なのだが、此れだけは別なんだ。
  頼むから直ぐに彼と会えるようにしてもらえないか?」

 「そうですか。そう言う事ならお役に立ちたいけれど彼忙しい人だから
  解りませんが電話してみましょう」

 『お願いします」

 ナミカは父親に頼まれた事など今までに無かったからうきうきしながら

 電話してみた。










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 「もしもし、ナミカです。よく判らないんですが父が福賀さんに会いたいと
  言っています。会社に関係があるらしいです」

 福賀は話の内容が就職に関係しる事だなと直感した。

 電話を変わってくれと言われてナミカは受話器を父親に渡した。

 「初めましてナミカの父です。急なお願いで申し訳ありませんがご都合は
  如何でしょうか?銀座の千疋屋さんの二階に11時で結構です。では
  よろしくお願いいたします。無理をお願いして申し訳ありません」

 なんだろう。こんな父親見たこと無いとナミカは唖然としていた。

 それもその筈。

 ナミカの会社は業界でも中程の規模で業績も奮わない。

 ナミカが解っていない福賀が未だ居た。

 小さい時に両親を無くして天涯孤独の身で思った事が両親の無形に財産を

 掘り起こして自分を磨く事だった。

 それを財産にしようと心に決めたのだ。

 だから、大学に来る懸賞デザインは漏れなく応募して実践を磨いた。
 
 彼の気概は並の物ではなかったから悉く賞に入った。

 だから原宿のアパートの5階に部屋を持つ事が出来たのだ。

 2月と言えば就職活動が行われて不思議な無い時期だ。

 福賀のところには先輩を通してオファーが23件来ている。

 しかし、その全てを保留にしていた。

 それはナミカにそれとなく家の事を聞いていたからだ。

 来なければ、仕方がない敵会社をさけて他の会社にしようと思っていた。

 でも、違う会社の話をする訳にも行かないから此方から志願しようと思っていた。

 そんな時、ナミカから電話が来てホッとして出掛けて行った。

 「勝手にお呼び立てして申し訳ないです」

 「お待ちしていたので良かったです」

 「そうですか?」

 「どの位のオファーが来てるのでしょう?」

 「先輩を通して23社です」

 「そうでしたか。そうだったのですか。で如何でしょう?
  うちの会社に来ていただけないでしょうか?」

 「入社させていただければ、共通の話題をもてますから嬉しいです」

 「そうですか。来ていただけるんですね」

 「良かった。本当に良かった。で此れはスカウトのケースとして
  考えますので契約金など条件は?」

 「契約金はいりません。縛られると思うように在るモノが生かせないので
  自由がほしいです。それから社名を株式会社雪月花に変更して化粧品部門を
  増設してください。化粧品をやりたいので・・・」

 「契約金無し。で待遇は?」

 「化粧品開発のチーフマネージャー、そして化粧品宣伝部・部長でお願いします」

 「解りました。よろしくお願いいたします」

 「良いんですか?」

 「勿論です」




  これが何れ政界へ繋がるとは・・・。

 


  現実では、小池百合子元防衛大臣が自民党の決定を待たずに立候補を宣言した。

 そこには様々な戦略が潜んでいるように思われて、女性も男性並みに戦略を使える

 ようになったかと驚かされた。

 しがらみを捨てて自由な立場で自分のやり方で都政を行なって行く気構えのようだ。

 「先ずは冒頭で都議会を解散する」そうだ此れは都議会が不信任案を可決しなければ

 出来ない事らしいが、不信任を出させても出されなければ信任された事になるので

 そこを狙っての事でもあるとか。

 なかなか思い切った女性の進出を形にしたものとして評価は出来るが、果たして女性の

 賛同を男性とともに得られるかどうかだ。

 好悪感度が得られているかどうか、それも問題だと思う。

 ここでも冴えないのは民進党だ。

 頑張りどころで頑張れない。

  



  つづく



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No.303 そして前に戻って(2)

  現実では参議院選の不在者投票所の増設で投票率が上がっている。

 未だ未だ投票率を上げるには色々な工夫と努力が行政側に必要だ。

 バングラデシュで起きたテロによって20人が死亡し日本人7人が

 含まれていた。

 公私混同の末に辞任した舛添前知事の次期候補に小池元防衛大臣が

 抜き打ちで立候補して自民党は反発している。

 前知事を支援しきれず本家の参議院選の都合で辞職に追いつめながら

 最後は有耶無耶のまま逃がしてしまった自公の都議会議員を都民は納得していない。








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  そんな不幸を生んでいる現実はイメージの世界では無い。

 福賀はナミカと二年目の夏以後連絡を取り合っていた。

 他の連中は知らない。

 もっとも、あの時に出会って夫々が3組のカップルを作って

 付き合っている。

 「ナミカはどうなの?」と聞かれても

 「私はチョッとやりたい事があって忙しいから・・・」

 「そうなんだ。あの黒のTシャツの彼は?」

 「それはどうかな〜?」

 「そうよね。変わり過ぎてるしね」








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 「何か謎が多過ぎるし・・・」

 「そうね。面倒な感じするしね」

 「うん」

 はかりごとは身近な所から行なえ。

 誰かが言っていた。

 福賀は本当の自然児だった。

 天井の高い彼のマンションは何処も白かった。

 その中に生まれた侭の福賀がいた。

 其処には何れも入れる事がなかったが・・・

 夏の海で知り合ったナミカは彼の部屋に入れた。

 入ると其処は共有の空間になる。

 自然は自然を包み込んでくれる。

  入ると右側にバスルームがあるユニットバスだ。

 ナミカはその手前の着替えのスペースで来て来た服を脱ぐ。

 部屋はワンルームで10畳程のスペースがある。

 右横の壁際に大きなキャンバスが室内イーゼルに掛かっている。

 白いキャンバス真ん中を切り裂くように上から下に青い線が。

 福賀は其の前に立っていた。

 その背中には命を掛けて頼まれた五代目彫辰の櫻の花びらを

 かき分けて登る龍の彫物が在った。

 それは福賀が国立アート大学の3年の張るの事だった。

 其れまでも登校時に公園の桜並木の影から視線が注がれて

 いるのを感じていたのだが・・・

 その視線の主が福賀の前に現れて

 「学生さん、ふくがきよしさん。お願いが在ります」










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 福賀はとうとう現れたかと其の人物を見た。

 和服だ。

 それも鯔背ってこんな感じだろう。

 「貴方に六代目を継いで欲しいのです。貴方の為にも」

 「六代目ってなんですか?」

 「彫師としてです。申し遅れました私は五代目彫辰と申します」

 「彫物師になってくれと?」

 「そうです」

 「だめです。そんな事受けられません」

 「貴方じゃないとダメなんです。お願いします」

 断っても断っても相手は諦めない。

 そして西郷さんの前まで来てしまった。

 其の五代目彫辰と名乗った人が福賀の前に廻って

 懐から何か出して土下座した前に置いたのは匕首だと解った。

 「お願いします。今言うメジャーでは在りませんが日本独特の

 藝術だと自負しています。貴方を大学に通われて頃から伺らせて

 いただき貴方しかいないと決めていました。どうかお願いします」

 その目は血走っていて命を賭けていると福賀は直感した。

 「解りました受けさせていただきます」

 それから福賀の不思議な生涯がスタートした。




 つづく


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No.302 そして・・・前に戻って

  少し気持ちを変えて・・・

 イメージの世界に戻って見たくなった。

 福賀が友人に頼まれて彼の家が権利をもっている海の家で

 手伝いを居ていた時のことだ。

 福賀の他に大学生が二人アルバイトに来ていた。

 其の年の夏もいつも通りの暑さだった。

 小さな入江の海岸は白い砂浜が広くて遠浅の海が広がっていた。

 右の沖合には可愛い島が在って左には半島越しに富士山が顔を出す。

 友人の海の家は海岸の中央から左に行って直ぐの所に在った。

 福賀は或る事情で園には出ないで海の家の中で客の応対や世話を担当。

 友人と後の2人は外の立って客に利用を呼びかけていた。

 昼は駅の近くで住まして来たのだろう。

 2時近い頃に大学生と覚しき4人組の女性が差し掛った。

 「どうですか?うちはシャワーの圧も強いしシャンプーリンスも
 一流の化粧品会社のモノを揃えていますよ」

 「更衣室は広いですか?」

 「ええ、充分広いですし清潔です」

 「どうする?」

 「感じ悪くないから決めちゃおうか?ナミカどう?」

 「いいわよ」

 「じゃ〜決めた!」

 「有難うございます。4人様ご利用いただけます」

 「丁寧ね」4人の頬に笑みがこぼれる。









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  話を少しばかりはしょりって前へ。

 その日は4人組はほぼ満足して海の家を後にした。

 そして今年の夏が来て、又あの4人組が現れた。

 「よ〜〜〜!お久し振り。又来てくれたんですか」

 「そうです。去年来たとき感じよかったから」

 「又お世話になります」

 「有難うございます。4人様ご利用いただけます』

 「変わってないわ」









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 「去年より綺麗になったみたい」

 「リニューアルしたんですか?」

 「そうみたいですね」

 って福賀が人ごとのように答える。

 「去年も中でしたよね」

 「はい」

 「焼けるの嫌いなんですか?」

 「充分焼けています」

 「そうですか?」







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  4人は怪訝そうに首を傾げながら更衣室に入って水着に着替えて出て来た。

  「中で仕事していらっしゃる方ですが・・・」

  「何か失礼な事でも・・・?」

  「いいえ、何故中に入ったきりで外に出ないのかと思って?」

  「それに長袖のTシャツ来ていらっしゃるし・・・」

  「別に悪い事ではないのですがチョッと訳ありで・・・」

  そうなんだ。と解らないままに納得したらしい。


  他日、福賀の携帯に電話が掛かって来た。

  「福賀さんですか。ナミカです」

  二年目の夏に何が在ったのだろう。




  つづく


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  次回も宜しくお願いいたします。